ヒエン・アン | 2025年7月7日 09時55分
ホー・トゥ・バオ教授の著書『AIと人間』は、科学的なアプローチを持ちながらも、ベトナムの現実に即した親しみやすい内容となっている。
第4次産業革命が急速に進展する中、人工知能(AI)はもはや遠い未来の話ではなく、教育、医療、経済から文化・倫理に至るまで、私たちの生活のあらゆる側面に浸透している。こうした機会と課題が共存する時代において、人間は「中心的存在」「主体」「発展の原動力」として、テクノロジーを使いこなすための知識、思考力、そして能力を備えることが求められている。
2024年12月22日付で発出された党中央政治局の決議第57号-NQ/TWは、「人間こそが科学技術発展の中心であり、主体であり、目的であり、推進力である」と明言し、あらゆる分野においてAIの効果的な活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)、およびイノベーションの重要性を強調している。
この決議の精神を具体化する形で、科学技術省傘下の情報通信出版社は、ホー・トゥ・バオ教授による著書『AIと人間』を刊行した。
本書は、AI時代における人間の役割を再認識し、社会の意識向上とイノベーティブな思考の促進を目指すものである。

この本は、人工知能(AI)に関する最も基本的な知識を、短く、わかりやすく、そして具体的な例や図解を用いて生き生きと紹介することを目的に執筆されたものである。
本書は全8章で構成されている。第1章では、これまでの人類の生活における科学の進歩による大きな変化が振り返られている。続く3章はAIそのものに焦点を当て、さらに2章にわたって、AIが人間にもたらす可能性のある価値とリスクについて考察している。最後の2章は簡潔に、AIと社会、そしてAIと共に生き、働く人間の在り方について述べられている。
一般読者にとってわかりやすく、かつ包括的にAIの内容を伝えることを目的として、本書にはAIの抽象的な概念を視覚的に説明するための多数の図版が掲載されている。特に注目すべき点は、これらの図版の多くが、著者の指示(プロンプト)に基づいてAI自身によって生成されたものであるということである。その他の図版は、著者が講義用に自ら描いたものや、インターネット上のシンプルな画像を使用している。
本書は、著者が40年以上にわたってAIの研究と教育に携わってきた経験に基づいて執筆されたものである。その中には、日本の北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)において、AI研究室を率いる教授として25年間活動した実績も含まれている。

科学的でありながらベトナムの現実にも即したアプローチにより、ホー・トゥ・バオ教授の著書『AIと人間』は、研究者や行政関係者にとって有益な資料であるだけでなく、AIに関する知識が少ない読者にとっても理解しやすく、日常生活への応用が可能な「道しるべ」となる一冊である。
本書は、科学技術、イノベーション、そしてデジタルトランスフォーメーションを柱とする、自立したベトナムの発展という目標の実現を後押しする役割も果たしている。
情報通信ジャーナルによると
Link: AIの基本を紹介する書籍